秋田県内で最も広い原生林が残っている山域が和賀山塊です。
和賀岳(1,440m)、朝日岳(1,376m)、小杉山(1,229m)、白岩岳(1,177m)、モッコ岳(1,278m)など、千メートルを越す山々に囲まれ、堀内沢、生保内川、シトナイ川、部名垂沢、行太沢、大相沢、袖川沢などの数多くの渓流が源を発しています。 原生林の面積は秋田県側だけで1万haを超え、非火山地帯であるが故に、噴火による大規模な自然破壊がなかったので、巨木を頂点とした豊かな自然が顕在です。 この山塊の水が数多くの渓流を生み、田沢湖トラウトファームは渓流のひと筋 大沢の流れを使って、極上の淡水魚を育てます。
田沢湖トラウトファームの水は、いわゆる環境基準に照らし合わしても、極めて汚染がされていない水です。
(各数値は平成21年5月18日の証明書参照) 生活排水と無縁の冷たい沢水で育てるので、魚の成長は遅くなりますが、身の締まりが良く、風味もよく、魚本来の独特の香が漂います。 昭和50年頃、大沢の渓流を引き、簡単に仕切っただけの素掘りの池が出来ました。現在、養魚場を運営する酒出和哉さんの先代が、昭和60年に受け継ぎ、現在のような養殖場に改築されました。 池底は素掘りのまま。つまり、自然な川底と同じ状態で魚が育ちます。 『経験上、素掘りのほうが魚も綺麗かつ健康に育つような気がします。実際、魚が生息する自然環境に近いわけですから、居心地はいいのかもしれません。』酒出さん談 結果として病気にもなりにくく、無投薬飼育にも取り組めるということです。 稚魚期には、オゾンによる殺菌や水質浄化をし、成長してからは、季節によってEM菌による水質浄化や木酢液入り炭粉を利用しています。そもそも、養殖には向かないほどの低水温と、低い飼育密度が故に、病気になりにくい環境です。 養魚場にはコンクリート底の池もあり、2日に1度は掃除をし、排泄物やエサの残骸などを取り除きますが、素掘りの池は月に1度か2度でも、十分な水質が保たれます。 『もしかすると、苔・水草・微生物の自浄作用があるのかも知れません。』酒出さん談
田沢湖トラウトファームでは、木酢液の付着した炭粉やビタミン類を与えています。養殖魚特有の脂肪分を低減し、魚本来の風味が引き出されています。さらに、身質の向上と排泄物の浄化効果が期待されます。 やりすぎると痩せてしまうくらいの効果があるので、炭粉の添加量の加減は重要です。岩魚や鮎の餌に含有する脂肪分は、イカやタラなどの海水魚からとった脂。この脂がつき過ぎると、臭みが出るようです。 『多分、川魚にはこの海の魚介類の脂が馴染まないんだと思います。』酒出さん談 確かに田沢湖トラウトファームの魚は養殖特有の臭いや脂の癖はありません。 ミネラルウォーターのように純度が高い水というのも理想かもしれませんが、自然環境でもそうであるように、魚が生息する水質というのは、石の苔や昆虫類やバクテリアなど、自然の営みが複雑に関連して維持されています。 『うちの岩魚は冬のある期間ほとんど食事を取らない時期がありますが、決して痩せていません。自然の仕組み(恵み)が岩魚に栄養を与えているのだと思います。』 焼きたての魚は脂があると美味しく感じますが、その脂の質が不自然だと、冷めたときに臭み(魚本来の味とのミスマッチ)を感じます。全く脂を無くすとパサついてしまうので、その頃合が難しいです。 『天然の岩魚や鮎と言っても、季節や生育場所で味も香りも違います。単に天然ものに近づけるというよりも、結果として、美味な天然より、より美味しい魚が育てられればと思います。』 酒出さん談 あえて、『清い水に魚住まず』的な環境でじっくりと魚を育てる酒出さん 熊が出て、養魚場が荒らされることもあります。行ってみるとわかりますが、養魚場と言うよりも、山奥で渓流を仕切って魚を育てているイメージです。 食べてみれば、直ぐに感じます。『あれ、この魚って養殖?』 酒出さんは3倍体のニジマスも育てていますが、レギュラー体の卵から作るフレンチキャビアも美味です。岩魚や鮎の鮮魚はもちろんですが、開きや丸干しも美味。一尾一尾、手作りの干物はシンプルですが、とても美味しいです。 |