Jam工房Eiko
Jam工房Eiko
ラ・フランスよりも濃厚な味わい
大庭英子さんの
「洋梨のジャム」
〜ゼネラル・レクラーク〜
ジャムをつくり続けて30余年。料理研究家歴40年の大庭英子さんにお願いして、特別につくっていただきました。
ゼネラル・レクラークの
魅力とは。
洋梨といえばラ・フランスが有名ですが、ゼネラル・レクラークは青森県三戸郡の南部町で約45年前から栽培されてきた西洋梨です。フランスで生まれた品種で、1玉が400〜600gもある、圧倒的な存在感です。果肉は西洋梨特有のザラつきがなく、なめらかな舌ざわりと果汁の多さが特徴です。ほのかに感じるりんごのような爽やかな酸味と甘みのバランスも絶妙です。
食べごろの見極めが難しい洋梨ですが、おいしさが頂点に達したタイミングで、ジャムに変身。ゼネラル・レクラークの魅力に溢れています。
香りを残すことに
工夫しました。
大庭英子さんがつくる、ゼネラル・レクラークのジャムは、洋梨ならではの華やかな風味が生き生きとしています。ラ・フランスに比べると、ねっとりとしていて、濃い味わいです。
「洋梨は特有の良い香りが、加熱すると飛んでしまうのです。どうしたらこの香りを残せるか。試作を重ねた末、すべてをピューレ状にするのではなく、一部をさいの目にカットして果肉の形を残すことで、香りを損なうことなくジャムに仕上げることができました」と大庭英子さん。果物のポテンシャルを最大限に生かすため、手間を惜しまずに仕事をするプロの手技が光ります。
フレンチトーストにも。
卵と牛乳を浸み込ませた食パンをバターで焼き上げたシンプルなフレンチトーストにゼネラル・レクラークのジャムを添えれば、素敵な朝食メニューに。バターのほのかな塩味とジャムの甘みが絶妙です。
青森県南部町産です。
ゼネラル・レクラークは、1950年頃にフランスで発見された品種です。1977年に青森県のりんご研究所の県南果樹部(当時の名称は「畑作園芸試験場果樹部」)が、フランス・アンジェの試験場から取り寄せたのが始まりです。
ゼネラル・レクラークの収穫は9月から。約1か月かけて、すべての果実を収穫します。2℃の予冷庫で約1か月間保管した後、20℃で3日間の追熟を行ってから食べ頃の一歩手前を見極めて出荷します。大庭英子さんは、香りが立ち、果肉が柔らかくなった完熟のゼネラル・レクラークを使います。
日本で初めて栽培。
日本で初めてゼネラル・レクラークを栽培したのは、青森県南部町の山間に位置する泉山果樹園の園主で、JA八戸の部会長でもある泉山茂さんです。自然と調和した持続可能な農業を志向している泉山さんは、果物本来の甘さと香りを引き出す技術により数々の受賞歴があります。味わいに優れた南部町のゼネラル・レクラークは、東京の高級果実店などで高く評価されています。
香りを残す工夫が
ポイント。
材料はゼネラル・レクラーク、国産レモンの果汁とグラニュー糖だけ。水や市販のペクチンは一切加えない直球のジャムです。
ゼネラル・レクラークは、香りを残すためにさいの目に切ったものと、ピューレ状にしたもの2種に、グラニュー糖とレモン汁を合わせ、1〜2時間ほど置きます。砂糖が浸透し水分が出たら、銅鍋で15~20分煮ます。とろみが出てきたら完成です。
希少な正統派ジャムです。
大庭英子さんのジャムは、いわゆる甘さ控えめのジャムではありません。「ジャムは、しっかりと甘くすることで自然なとろみが出ます。そして凝縮感のある濃厚な香りと味わいになります。これがジャムのおいしさです」と、大庭英子さんは力強く語ります。まさに本物。今や希少な正統派のジャムです。
洋梨のジャムは、ラ・フランスのジャムもあります。食べ比べをお楽しみになれます。1月は、馬路村などの高知県産の黄柚子を使った「柚子のマーマレード」、完熟させた蜂屋柿を使った「柿のジャム」もございます。大庭英子さんのジャムは、現状、当サイトのみで販売しております。
文・林麻実
撮影・天方晴子