日本三大干潟のひとつ 福岡県 曽根干潟。
517haの海面域に竹馬川、大野川、貫川、朽網川が流れ込み
真水と一緒に、4つの川が様々な有機物とミネラルを補給し
最大4mの干満差が多種多様な生態系を育み続ける。
広大な干潟のバクテリアが分解する豊富な有機物が
密度の濃い植物性プランクトンの生育域を育む。
それを餌に牡蠣は猛烈な速度で成長し、肥える。
昭和58年に始まった曽根干潟のカキ養殖
豊かな曽根干潟といえども、冬季は漁獲が少ない。
その為、一時は冬場の海苔養殖が盛んだったが、全国的な海苔の過剰生産などで海苔養殖は廃れていった。
折しも北九州空港の建設で、干潟の前面に長大な防波堤(空港)ができ、台風に弱いカキ養殖筏の設置の絶好海域となったこともあり、昭和57年に試験養殖が始まった。試験養殖の結果、他のカキ産地よりも成長が早く、味の良いものができたことで、曽根干潟でのカキの養殖は始まった。
「豊前海一粒かき」の中でも格段にうまい
福岡県 豊前海北部海域 曽根地先
透明度が4〜7mしかないほど植物性プランクトンが豊富で、波が穏やかな曽根干潟(特に、セイゴ会がカキ筏を並べる豊前海北部海域曽根地先)で養殖される牡蠣は実に育ちが良い。
一般的には出荷まで2年掛かる産地が多いが、僅か8ケ月〜12ケ月で出荷できるのは、曽根干潟の持つ圧倒的な海の力の証だ。
それも外見から想像する以上に牡蠣の身が充実しているのは、カキ殻が薄いからだ。身の成長が早すぎると、殻の成長が追いつかないため、どうしても殻が薄く脆くなる。
セイゴ会が運営する曽根干潟のカキ小屋「はちがめ」で、焼き牡蠣を食べる人々が専用のジャケットを着用しているが、自分で牡蠣を焼けば理由はすぐにわかる。
殻が薄く、炭火で牡蠣はあっという間に焼ける。その代わり、殻は簡単に割れ、ひと粒カキは度々小噴火を起こす。カキの噴石(殻)は軽く1mは飛ぶ。だから、小屋が貸してくれるジャケットは必需品だ。無ければ、かなり悲惨なことになりかねない。
重厚なカキ殻を持つ産地で焼き牡蠣をしても、こんな噴火は頻繁には起きない。
(写真右:(株)セイゴ会の牡蠣小屋「はちがめ」の皆さん)
北九州空港開港の翌年
2007年に結成された
株式会社セイゴ会
海水の持つ栄養分が国内屈指の曽根干潟。
その海が育む豊前本ガニ(ワタリガニ)と豊前海一粒かき等を、もっと多くの人に知って欲しいとの思いで、若手漁師5名で結成したのが「セイゴ会」。
会のメンバーが曽根干潟で水揚げした牡蠣を、その日のうちに洗浄し出荷している。
ほとんどが地元消費で消え、全国的には流通していないが、今回は大きいサイズを選んで出荷してくれるので、間違いなく「うまい牡蠣」が届くはずだ。
栄養豊富すぎる曽根干潟はカキの生食用海域に指定されない
一年に満たない期間で牡蠣を立派に育てる、コンデンスミルクのような曽根干潟の海水では、カキ養殖の生食用海域に指定されることは難しい。
非常に肥えた牡蠣は少し残念だが加熱用で生食が現時点では許可されていない。ただ、加熱用だから生食用より美味しくないというのは間違いだ。
焼き牡蠣、牡蠣ご飯、蒸し牡蠣、カキフライ、牡蠣グラタン、どんな料理にしても、この牡蠣はうまい!電子レンジで加熱するだけでも、実に美味しい。
痺れるような、濃厚で癖のある牡蠣の味ではなく、何個でも食べられる美味しさだ。
痩せた牡蠣だから何個でも食べられるのではなく、太っていても食べられる。
うまい米の塩むすびを何個でも食べられるのに、感覚的には近いかもしれない。
もちろん、殺菌施設を整え、2〜3日間、牡蠣を断食させれば生食用の許可も取れるはずだが、1日で300リットルもの海水を濾過して、植物性プランクトンなどを餌にしている牡蠣に、3日の断食はどんな影響があるのだろう・・・・
セイゴ会は、現時点では生食にこだわらず、一番美味しい状態の牡蠣を加熱調理で食べることが一番と考えている。だから、自らカキ小屋も営んでいる。
日本全体で18万トン以上あるカキの生産量。曽根干潟産は僅か約800トン。
その内、豊前海北部海域曽根地先のセイゴ会だけとなると数十トン、まさに幻の牡蠣だ。
セイゴ会を応援したい!
牡蠣の生産量が増え、殺菌施設を作れるようになったら、セイゴ会の牡蠣が生で食べられるようになる!
ぷくぷくした加熱用牡蠣がこんなにも美味だから、少しくらい断食させて、痩せても、生牡蠣だってきっとうまいだろうな・・と考えてしまう。
曽根干潟 偉大な海。
セイゴ会の皆さんには頑張って欲しい!頑張って応援しよう!そうそう、セイゴ会の渡り蟹も相当美味しいそうだ・・・・そちらもとても楽しみだ!
㈱食文化 代表 萩原章史
何個でも食べられちゃう!牡蠣フライ
牡蠣の旨さが引き立つシチューもお勧め
曽根干潟は豊かな海 蛸も絶品!
セイゴ会のワタリガニも格別にうまい!