茶樹の命を凝縮
静岡県産 茶ノ実油
ビタミンE豊富な、無ろ過・生搾り 茶の実油
南アルプス南端のふもとの自然は豊かにして、厳しく耕作放棄された茶樹はその環境で生命力を強くする。 虫や寒さや日光に負けないよう、茶樹は機能性成分を高め、種族保存の本能は活性化し、たくさんの実をつける。
茶の実を摘み、殻をはずし、搾れるようにするのは障がい者の就労支援B型を営む『やまっこの家』の面々。 生きた茶の実からコールドプレス搾油されるオイルは無濾過であるが故に、茶樹の命の源を凝縮した一滴だ。
収穫したての茶の実 まだ緑が濃い
衰退を続ける静岡県の茶産業
平成4年のピーク、年間862億円だった静岡県の茶の産出額。それが300億円を切るレベルまで落ち込み続けている。中山間部の茶園が多い静岡市は、特に落ち込みが激しく、120億円が30億円と激減している。
山間の茶園は斜面が多く、生産性が低く、特に高齢者には厳しい労働環境。
耕作放棄された山間の茶樹を生かす
新しい取組み
南アルプスの麓、静岡市の標高約700mの耕作放棄茶畑(約10a)を元に、茶の実収穫目的の茶樹が植えられている。
見慣れた蒲鉾のように刈られた茶樹とは異なり、2mを超える背丈に育ち、たくさんの実をつけている。
茶葉用に栽培する茶樹は樹齢4〜5年だが、樹齢5年以上から茶樹は実を良くつけるようになり、樹齢300年くらいまで茶の実を収穫できる。
結実しやすいように、様々な品種が植えられているが、10aの茶樹から約100キロの実(種)が得られる。
上質なコールドプレス茶の実オイルは、100キロの種の10%、つまり、10キロほどしか搾れない。
茶樹の管理と
茶の実の加工を手がける
『やまっこの家』
障害や難病のある人に、軽作業などの就労訓練などの機会を提供している、就労継続支援B型の『やまっこの家』を訪ねたのは、茶の実の収穫・選別・乾燥作業のピーク期の9月26日。
JR静岡駅から車で1時間、山間の道を北西に向かい、きかんしゃトーマス号で有名な大井川鉄道の千頭駅に近い場所に施設はある。
静岡市は全国で5番目に面積が広い市。久能山や三保の松原のように駿河湾に面する場所から、北は南アルプスにまで続く。
大井川源流の南アルプスふもとの広大な中山間部には、多くの耕作放棄地が点在し、そんな山間に『やまっこの家』はある。
一連の仕事ぶりを取材したが、働く人たちが実に真面目に、そして屈託の無い笑顔を時折みせ、茶の実と格闘している姿が印象的だった。
喫茶の祖と言われる、古代中国の神農は、毎日、山野にて百草をなめて薬草を探し、本草医学の始まりになったとされているが、神農が集めた食物の効能は「神農本草」に記され、それを元に西暦500年前後に陶弘景がまとめた『神農本草経』には 「神農嘗百草、日遇七十二毒、得荼而解之」と書かれている。
1日に百の草をなめ、72回も毒にあたったが、茶で解毒した。と書かれている。
茶には不思議な力が宿っているのだろうか・・・
やまっこの家の面々が実に活き活きと茶樹や茶の実と向き合っているのは、茶の力なのか?
茶ノ実油を企画した
白形傅四郎商店
1923年創業の白形傅四郎商店は『お茶の伝承を守る』を社訓と、初代遺訓『悪い品を売るくらいなら商いをやめよ』を堅持する製茶問屋。近年の茶産業の衰退を憂い、茶の新たなビジネス可能性を模索し、茶の実から油を採るプロジェクトを立ち上げた。
白形傅四郎商店はさらに、山間部の耕作放棄茶園の茶の実を、障がい者支援事業と組んで、オイル化する取組みを進めてきた。
搾油する前の茶の実は、
土に植えると発芽する
命ある茶の実には、発芽するための様々な成分が含まれている。最低限の加熱しかしないので、様々な機能性成分を生かして搾油することができる。
搾油効率を追い求め、加熱すれば2倍近い油が搾れるが、あえてそうせず、品質を追求している。
茶ノ実油の機能性について
茶ノ実油には「ビタミンE」が豊富に含まれています。
ビタミンE:抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける栄養素です。
βカロテン | ビタミンE | コエンザイム Q10 |
|
---|---|---|---|
茶ノ実油(mg/100g) | 0.33 | 36 | 0.79 |
茶ノ実油は「オレイン酸」比率が50%以上と高く、加熱調理しても酸化しにくいのが特徴です。
オレイン酸オメガ9 | αリノレン酸オメガ3 | リノール酸オメガ6 | |
---|---|---|---|
茶ノ実油 | 50.8 | 0.4 | 26.5 |
オリーブ油 | 70〜85 | 0〜1 | 4〜12 |
ナタネ油 | 56〜62 | 7〜11 | 15〜24 |
ごま油 | 35〜46 | 0〜2 | 35〜48 |
落花生油 | 35〜70 | 0〜1 | 20〜40 |
大豆油 | 20〜35 | 3〜8 | 50〜57 |
550粒の茶の実の命
無濾過のオイルは
強烈なテースト
当社の茶の実オイルは濾過せず、和紙で漉すだけの生搾り 味も香りも違う!
茶ノ実油1本105ml(92g)に使う茶の実は、約550粒(1粒2g弱、搾油率は約10%)。
550粒の命が溶け込んだ油だ。
食文化限定企画は、やまっこの家の茶の実から搾った油を、無濾過で瓶詰している。
5濾過した通常の茶ノ実油と比べると、角がたち、荒々しく、生命力のようなものを感じる油になる。
毎日小さじ1杯飲み、茶の力を頂くのが一押し!料理にも使えるが、茶の命のエキスをそのまま身体に取り込むには、そのまま飲むに限る。
(株)食文化 代表 萩原章史