有明海の珍味を食す
豪快に素揚げがうまい
味噌と卵が充実した
「マジャク(穴蝦蛄)」
蝦蛄とも蟹ともいえるその魅力は
素揚げで引き立つ
素揚げで引き立つ
ソフトシェルシュリンプのように殻は薄くやわらかく、
素揚げにするとバリバリと香ばしいです。
水分が飛ぶと、頭部の味噌はホヤに通ずるフルーティーな風味が際立ちます。
抱卵した個体は濃厚かつもっちりした食感も楽しめます。蝦蛄とも蟹ともいえる、
酒飲みが好きな珍味のフルコンボといったような食材です。
貴重な食材「マジャク」を求め有明海へ
マジャクは全国の干潟に分布する
エビ目(十脚目)に分類される甲殻類の一種です。
巣穴を掘って生活をすることから、底質が攪拌され、
干潟の豊かな生態系維持には欠かせない存在です。
しかし、近年は干拓事業、海水の成層化、赤潮・貧酸素の発生などの環境変化から減少傾向です。
今では筆を使った伝統的な「マジャク漁」も有明海などの限られた地域でしか見ることができません。
貴重な食材のひとつです。
豊洲市場でもほとんど目にかかれない「マジャク」
マジャクは干潟からでると途端に弱り、少しの温度変化にも耐えられません。
非常に足がはやく、地場以外にはほとんど流通しません。
そこで、5月〜8月にはほぼ毎日水揚げ・入荷がある柳川筑後中部魚市場から
卵と味噌が充実している時期のマジャクを急速冷凍し、全国へ出荷します。
入荷当日の朝7時には市場内でプロトン急速冷凍にかけます。
筑後中部魚市場 マルマ松本鮮魚から出荷します。
福岡県柳川「筑後中部魚市場」は北部九州各地から新鮮な魚介類が集まります。
地方卸売市場では全国トップクラス60t〜80t/日の取り扱い量です。
特に有明海産の地物の取扱いでは 九州随一。
そんな「筑後中部魚市場」で 他の海域では目にかかれない魚種に精通するのがマルマ松本鮮魚の松本勝男さんです。
マジャクは有明海の資源に寄り添い、守りながら生業をたてるマルマ松本鮮魚 だからこそ扱うことができるのです。

茹で、蒸し、唐揚げと試しましたが、マジャクの魅力が一番引き立つのは素揚げです。油を高温に熱した鍋に豪快に丸ごと入れて、からりと揚げてください。柔らかい殻が破裂し、はねることがあるので注意してください。
食文化 鈴木愛理