スペインのコルク樫の原生林が育む
極上のイベリコ豚
1頭のイベリコ豚を育てるには、何と2〜3ヘクタールのコルク樫の森が必要。 森が生むドングリを1トン以上食べ、イベリコ豚は最高級のベジョータに成長する。
別名 足のあるオリーブと呼ばれるイベリコ豚
イベリコ豚とは
ドングリ由来の豊富なオレイン酸やビタミンB群、ビタミンEなどを含む肉質です。
特に高品質のイベリコ豚のもも肉で、熟練のマエストロ・ハモネロ(生ハム職人)が造るハモン・イベリコは、最高レベルの生ハムとして、世界中の美食家をとりこにしています。
イベリコ豚はスペイン西部地方のみに生息する、イベリア種というスペイン原産の豚です。遺伝的に成長が遅いので、飼育には通常の豚の何倍もの時間を費やします。さらに、野生に近い種のために自然放牧で育てます。時間をかけ、広大な大地でのびのびと育った豚は丸々と太り、健康そのものです。
飼育方法
スペイン政府から発令された基準で許可された飼料、牧草、自然の餌のみで育てられた後、「モンタネラ(放牧)」という肥育期間に入ります。
この期間は「デエサ」と呼ばれる地中海森林地帯の広大なコルク樫の原生林に放牧され、自由に走り回り、一日約10kgものドングリを餌として食べて体重を増やします。オレイン酸を豊富に含むドングリや、牧草、球根植物、草の根を食べ、充分に運動することで、半年間に体重を50kg以上も増やします。
このようにストレスを与えないよう、自由に育てることで、他に類を見ない優れた味と香り、舌触りを作り出しているのです。こうして手間暇かけて育てられたイベリコ豚は、肥育方法によって下記のランクに分けられます。(本当はもっと細かい規定があります) 最高ランクのベジョータはイベリコ豚の全生産量の僅か5%程度です。
デ・ベジョータ (モンタネラ仕上げ) |
この名称は、デエサのベジョータ(ドングリという意味)、草、その他の自然の産物のみを食べた後にと畜された豚の精肉、又は加工品に用いることができる。モンタネラ(放牧期間)に60日間以上デエサで放牧され、体重が46kg以上増加していること、など細かい規定がある。最低14ヶ月 | |
デ・セボ・デ・カンポ (屋外飼育デ・セボ) |
穀類・豆類ベースの飼料を与えられた後、と畜前の最低60日間は屋外の自然の餌を摂取し、同時に飼料ベースの餌も与えられる。12ヶ月飼育 | |
デ・セボ(ピエンソ) | と畜体重に到達するまでは、穀類や豆類ベースの餌を与えられた豚。10ヶ月飼育 |
部位や用途
イベリコ豚は、もともと、そのもも肉(後足)で伝統的な高級生ハム「ハモン・イベリコ」を作るために育てられてきました。その他の部位は、サルチチョンやチョリソといった腸詰やパテなどの加工品として消費されていました。生肉として流通されるようになったのは、極めて近年のことです。
主な部位と特徴
①もも肉
生ハム(ハモン・イベリコ)作りに使われるため、まず、出まわらない。
※スペインの解体方法だと、豚肉の部位は細かく分けられ、200種類以上になります
主な加工品と特徴
(文・株式会社 食文化 代表 萩原章史)