木村農園 木村政明のこだわり西瓜
天竜
西瓜作りへの探求心とこだわりを持つ 木村政明 65歳 徹底した土づくりと、昔ながらの品種 天竜への惚れ込みが、超大玉でありながら、 しゃりしゃり多汁の高糖度西瓜を生みます。
木村さんの西瓜は超大玉で 非常にジューシー&高糖度!!
糖度13度 (平均値)
三浦半島の潮風から大切な葉を守りつつ、 豊かな日照で育む究極の西瓜は 一本一本、一個一個に手間と愛情がこもっています。
糖度は高くても、食べ続けたくなるのが、木村さんの西瓜の凄いところ
木村さんの西瓜 大きいものは20kgを超え、13kg〜15kgは普通です。量販店の大玉スイカは3kg〜5kgですから、一般の大玉の3倍以上のサイズと言っても過言ではないです。糖度は13度が平均値です。
(※西瓜は地面に接している側の糖度は低いです)
一般的には10度程度ですから、かなり甘い西瓜です。
木村さんは西瓜に水をたっぷりあげます。とてもジューシーで、包丁を入れた瞬間、切れ目から、果汁が溢れてくるほどです。
この水分の多さが木村さんの西瓜の魅力のひとつ。何切れでも食べたくなる、食べ飽きがこない完成度です。もちろん、絶対的な糖度が高いので、そんなジューシー果肉でも、水っぽさとは無縁で、非常に美味しく感じることができます。
『しゃりしゃり』と小気味よい音とともに、西瓜の果肉が口の中ではじけ、爽やかな甘さと香りが広がります。
(写真右:この大きさ(14kg)でも普通。この日の出荷分で最大は20kgだったそうです。)
徹底した整枝栽培と、一個一個の西瓜に 費やす時間が究極品を生みます!!
木村さんは奥さまと娘婿との3人で、9反ほどの畑に天竜という昔ながら品種を栽培しています。固くてごつい表皮の下には、厚みある白い部分があり、甘い果肉をしっかりと守っています。※白い部分は漬け物(特にぬか漬け)にすると非常に美味です。
天竜は超大玉になるので、昨今は冷やせないとか、核家族で食べきれないということで、廃ってしまった品種です。
井戸で冷やして、大きく切って、縁側でたっぷりの果汁をたらしながら食べる!これぞ究極のすいかです。日持ちが良いので、カットして冷蔵庫で保管すれば良いのですが、量販店中心の販路では、売値が高くなるので、消えていった品種です。
最近では、この天竜すいかを栽培している農家が非常に少ないこともあり、木村さんは真冬の2月に種(天竜の種と台木のユウガオの種)から自分で苗を作っています。
(写真左:木村さん親子)
土作りは毎年の試行錯誤 1mは棒が刺さる柔らかい畑は凄い!
木村さんは西瓜収穫後に大根を育てます。大根の成長具合を分析して、施肥の内容を考えます。自家製のぼかし肥料には、様々な有機質を混ぜて使いますが、水はけを良くする為や、土の健康を考え、様々な素材(例えば、サンゴ礁)を使っています。
畑の支柱に使う棒を畑にさせば、『ずずっずずっ』と1mくらいは刺さります。 このフカフカの土が、巨大で美味な西瓜を毎年育ててくれるのだと思います。
(写真右:この西瓜で14kg。毎日の作業の大変さを感じた取材です。)
親ヅルの立派な葉を大切にし、 子ヅルを7本に絞り、 孫ヅルに3個だけ成らす
究極の西瓜は、糖度はもちろん、食感と形と果肉の状態が重要です。最高の西瓜を作る為に、木村さんは徹底的に草勢をコントロールします。
子ヅル・孫ヅルが多くなれば、それだけ広い面積で大量の光合成が出来て良さそうですが、実はそんな単純なことではないようです。
たった一本の孫ヅルが多いだけで、西瓜の草としての精力が強くなり、実の状態を変えてしまうそうです。
その為、木村さんは全て手作業で不要な芽先を摘んで、草勢をコントロールします。
また、三浦半島先端地域は日照豊富ですが、風が強いので、大切なツルは根元を中心に巻くように育て、トンネルの中で隠すようにして、味を決める葉を風から守ります。
さらに、1本の西瓜から3個しか収穫しないので、3個以外の実は全て間引きます。
このツルの管理と間引き作業は中腰の膝つきで、栽培期間中、ずっと続く為、木村さん家族は腰やひざを悪くしてしまいます。
木村名人は一個一個の西瓜を叩いて、 その音で収穫を決める
トンネルの中に育つ西瓜をいつ収穫するのか?
一般的なスイカ農家は葉の状態とサンプルチェックで、畝毎の収穫を決めて、一斉に収穫しますが、木村さんは一個一個の西瓜を叩いて、その音で収穫日を判断して、ばらばらに収穫していきます。
(写真右:達人 木村政明は一個一個の西瓜を叩いて、その音で収穫を決める。決して、一度に収穫はしない。)
昔ながらの立派で美味でジューシーな西瓜 是非、残して欲しい逸品
木村さんの娘婿が後を継ぐことになりました。ほっとひと安心です。
立派な大玉西瓜は時代遅れとされ、小さな西瓜(極端な話、小玉スイカ)に押され、年々、生産量が減っています。
一方で味はともかく、見た目のインパクトがある大玉スイカも増えています。
木村さんは言います。
『他の産地の西瓜も色々食べたし、試しに、他の品種を作ったこともあるけど、やっぱり天竜西瓜が一番さ。』
私もそう思います。もちろん、果肉がしっかりした、でんすけスイカのような品種も旨いですが、
昭和40年代までの日本の夏の主役だった、大玉西瓜の究極品が木村さんの天竜だと思います。
井戸と縁側が似合う美味西瓜
南アフリカのカラハリ砂漠が原産地のスイカ。
エジプトでは四千年以上前から栽培されていたようです。
また、古くからスイカ糖やスイカ飴が珍重されてきたのも、スイカの効能をわかっていたのだと思います。
最近の研究では、昔から知られているカリウムはもちろん、スイカにはリコピン・シトルリン・シスペイン・イノシトール・マンノシターゼなどの成分が含まれていることもわかりました。
木村さんの西瓜は食べ飽きがこないので、大玉でも意外に食べきれます。日持ちが良いのも特徴です。これぞ、究極の夏の健康ギフト。日本が元気だった昭和の頃の夏の美味です。
(文・株式会社 食文化 代表取締役社長 萩原章史)