Jam工房Eiko
Jam工房Eiko
とろっとろの
蜂屋柿から生まれる
大庭英子さんの
「柿のジャム」
ジャムをつくり続けて30余年。料理研究家歴40年の大庭英子さんがご自宅の厨房で手づくりしたものをお届けします。
ねっとり、なめらか、本邦初公開の
濃厚な味わい。
「子供の頃、柿をもいだら納屋に入れ、とろとろになるまで完熟させ、それをスプーンですくって食べていました。その美味しさが忘れられなくて、ジャムにしようと思いつきました」と大庭英子さん。
干し柿で名高い蜂屋柿を生で仕入れ、自宅で1ヶ月以上かけて果肉がとろける状態になるまでおき、ジャムにします。「とにかく完熟させることが大切です。味わいはもちろん、鮮やかで美しい色が生まれますから。」ねっとりとした繊細な舌ざわりも、美しく輝く色も、すべて完熟のなせる技。今まで見たことも食べたこともない、柿のジャムの誕生です。
これが完熟の蜂屋柿です。
蜂屋柿は、岐阜県美濃加茂市蜂屋町で古くから栽培されてきた渋柿です。果実は長楕円形で頂部がとがり、大きくて、ずっしりとしています。通常は干し柿にし、さらに柿羊羹などの銘菓になる高級干し柿です。今回は福島県産と山梨県産の蜂屋柿を使います。大庭英子さんは、画像のように、さわると崩れてしまうくらいまで自宅で完熟させてからジャムにします。
チーズとの相性も
抜群です。
味わいは濃厚です。クラッカーやトーストした薄いパンにカマンベールと柿ジャムをのせて、ブラックペッパーを振ればお酒のお供になるほどです。スコーンにもよく合います。
柿の美味しさが凝縮。
材料は、柿と砂糖だけです。レモン汁も入れません。一瓶に2〜3玉の柿が凝縮されています。じっくりと煮詰めていますので、柿をそのまま食べる以上に旨みや風味が感じられます。大庭英子さんの目にかなった完熟した柿だけがジャムになるため、大量につくることができません。とても貴重なジャムです。
柿のジャムの魅力に
迫ります。
柿の皮を剥きます。
完熟した柿の皮を手で剥き、ヘタと種を取り除きます。「出来上がったときに舌ざわりが悪くなってしまうので、黒くて硬いところも丁寧に取り除きます」と大庭英子さん。
果肉を漉します。
漉します。このひと手間により、舌の上で溶けていくような繊細な食感になります。種などを取り除くと、ジャムに使える果肉はほんのわずかです。
砂糖を加えます。
大庭英子さんは果物の特性を引き出し、後味をすっきりさせるため、グラニュー糖を使います。柿に対して砂糖の量は40%です。果肉が柔らかいので砂糖は直ぐに浸透します。
愛用の銅鍋で煮ます。
水やレモン汁などを入れず、約20分煮ます。クリアな味に仕上げるため、アクは丁寧に取り除きます。果肉の量が半分ほどになったら煮上がりです。鮮やかだった色が落ち着いた色に変わりました。
熱いうちに瓶に詰めます。
煮沸した瓶に、出来たて熱々のジャムを詰めます。冷めるととろみとジャムの色の美しさが増します。脱気のため、ジャムが入った瓶を熱湯で10分ほど湯煎にして完成です。
サンドイッチも抜群です。
サンドイッチ用のパンに有塩バターを塗って柿のジャムをたっぷりと挟みます。濃厚な柿の風味とバターのコクの組み合わせがたまりません。
本物のジャムをお楽しみ
ください。
今までになかった、とろとろに完熟させた柿でつくる柿のジャムです。ぜひ一度召し上がってみてください。
1月は「柿のジャム」のほかに、馬路村などの高知県産の黄柚子を使った「柚子のマーマレード」、「洋梨のジャム」2種(青森県産のゼネラル・レクラークと山形県産のラ・フランス)もあります。大庭英子さんのジャムは、現状、当サイトのみで販売しております。
文・林麻実
撮影・天方晴子