上野菓子研究所
上野啓介シェフが焼き上げる
『初夏のスコーン3種セット』
1、王道のプレーンはフランス産オーガニック小麦が香ります。
2、定番の紅茶フレーバーは心地よい香りの熊本県産「天の紅茶」製です。
3、季節のフルーツスコーンは爽やかな希少柑橘「レモネード」です。

画像は焼き立てのスコーンです。スコーンにはオオカミの口と呼ばれる裂け目(腹割れ)があります。スコーンの本場イギリスではこのオオカミの口が美しいと美味しいとされています。今回、上野菓子研究所の上野啓介シェフに、初夏をイメージした3種のオリジナルスコーンを作っていただきました。フランス産オーガニック小麦を使用した、香ばしい小麦の風味が堪能できるプレーン(画像)と、熊本県南地域の茶葉を使った上品に香る和紅茶、華やかな香りと爽やかな味わいの希少柑橘のレモネードです。
『初夏のスコーン3種セット』は、陽気の良い初夏の昼下がりのお茶の時間に楽しんでいただけるようにご用意しました。お気に入りの紅茶を淹れて、お茶の時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。
上野啓介シェフのスコーンは、しっとりとした食感が特徴です。

「スコーンも焼き菓子の一つとして、小麦粉をはじめとする素材の風味を楽しんでいただけるものにしたいと考えています。季節も初夏ですから、一般的なスコーンよりも、しっとり感のあるスコーンにしました」と、上野啓介シェフ。通常通りクロテッドクリームやジャムを付けてもよし、それぞれのフレーバーがしっかり感じられるので、何もつけなくても楽しめるスコーンでもあります。
お届けするスコーンをご紹介します。

『プレーン』は小麦の香ばしさも魅力です。
一般的にスコーンに使用する材料は、小麦粉、バター、砂糖、卵、牛乳、ベーキングパウダーなどです。特にプレーンは、小麦をダイレクトに感じられるため、上野シェフはフランス産のオーガニック小麦を使います。「スコーンは生地が美味しければと考えているので、プレーンにはフランスのベーカリーがよく使っているBIOの小麦粉2種をブレンドしました。焼いた時の香ばしさとほんのり甘い香りが気に入ってます。」と、上野啓介シェフは語ります。外はさっくり、中はしっとりとした食感のスコーンです。

定番の紅茶味は『和紅茶』です。
スコーンの定番である紅茶フレーバーは、熊本県水俣市にある天の製茶園の「天の紅茶」を選びました。「和紅茶である天の紅茶のもつ、爽やかで心地よい香りが初夏のスコーンにふさわしいと思います。紅茶を濃く煮だしたものと刻んだ茶葉を生地に練り込んで、天の紅茶の風味を生かしました」と、上野啓介シェフは語ります。天の紅茶ならではの上品な香りのスコーンをお楽しみください。

フルーツスコーンは『レモネード』です。
レモネードは、レモンの風味がありながらも、強烈な酸味はなく程よい酸味とミカンのような甘みが加わった爽やかな味わいが特徴の柑橘です。産地は静岡県。生産が難しいため一般流通をしていない希少な柑橘です。このレモネードをコンフィチュールにし、スコーンに練り込みました。程よい酸味と苦みが心地よい、爽やかな後味が魅力的なスコーンです。
上野菓子研究所の上野啓介シェフです。

上野啓介シェフは、百貨店の催事をはじめとする各地のポップアップストアでも大人気のパティシエのお一人です。上野菓子研究所のオーナーパティシエとしてスイーツの製造はもとより、商品開発のコンサルタント、国内外の製菓の講師として活躍されています。「パティスリー・ドゥ・シェフ フジウ」に従事、2年間の渡仏後は「パークハイアット東京」勤務を経て、メーカー各社での経験を活かし、古き良きフランス菓子の魅力と美味しさを伝えるため上野菓子研究所を立ち上げて現在に至ります。
上野啓介シェフのスコーンの魅力に迫ります。
1、『プレーンスコーン』です。

小麦の香りがたまりません。
焼き上がりのプレーンスコーンです。外はザクザクっとして、中はしっとりしています。小麦、バター、卵の風味が一体化し、力強さを感じます。食べ応えも十分です。このスコーンの秘密をご紹介します。

スコーンは小麦粉が主役です。
スコーンの主な材料は小麦粉です。上野啓介シェフはプレーンのスコーンにはフランス産のオーガニック小麦を使い、小麦の香ばしさを表現します。砂糖は、この小麦粉と相性の良いきび糖でコクを出します。

カットしたバターを粉類にまぶします。
冷やしたフランス産のオーガニック小麦粉に、良く冷えたカットしたバターを混ぜます。温度が上がらないよう、手早くバターに粉を纏わせます。粉っぽさがなくなりレーズン程の大きさになるまですり合わせます。

卵液とヨーグルトを混ぜます。
粉を水分でつなぐため、卵とプレーンヨーグルトを入れます。卵はコクと風味をアップさせる役割を果たします。ヨーグルトによりしっとりした味わいに仕上がります。

捏ねすぎないようにします。
生地は練りません。サクッとした食感を出すためにスケッパーで粉っぽさがなくなるように、さっと混ぜ合わせます。生地がまとまったら冷蔵庫で20〜30分ほど休ませます。

生地を半分にカットし重ねます。
冷蔵庫から出した生地を1.5〜2センチ程の厚さに延ばし半分にカットします。カットした生地は重ねて、層を作ります。このようにしてスコーンならではのオオカミの口(腹割れ)が起こりやすくします。

オーブンで焼き上げます。
生地を4.5センチ×4.5センチの四角にカットしたら卵液を塗ります。卵液を塗ると焼き上げた時の色合いがよく風味が増します。200度のオーブンで25〜30分焼成します。

焼き上がりました。
厨房に良い香りが広がってきました。スコーンに腹割れが起き、こんがりと美味しそうな焼き色がついてきたら完成です。

クロテッドクリームとお好みのジャムをご用意ください。
そのままでも十分美味しく召し上がれますが、お好みでクロテッドクリームとジャムを付けてお楽しみください。上野啓介シェフのおすすめは、ベリー系のジャムです。華やかな香りと酸味のあるベリー系のジャムが素朴な味わいのスコーンによく合うそうです。
2、『和紅茶』のスコーンです。

天空の茶園で栽培された「天の紅茶」です。
天の製茶園は、標高600mの高原で40年以上にわたり農薬や除草剤はもちろん、肥料をも使用しないで茶葉の栽培を行っています。茶園全体の半分近くを希少な在来種が占めており、焙煎も自社で行っています。スコーンに使用する天の紅茶は、日本の在来種の茶葉を使った天の製茶の看板商品の一つです。柔らかな飲み心地です。クリアな味わいの後に心地よい甘味が広がります。日本を代表する老舗和菓子店の紅茶羊羹にも使われています。

和紅茶の香りや味わいを大切にしました。
紅茶のスコーンは、アールグレイなどの香りの強い茶葉を使用するのが一般的ですが、上野啓介シェフは「せっかくオリジナルを作るのならば」とこれまでにない紅茶のスコーンを目指し、和紅茶を選びました。しかしながら和紅茶は香りが優しく上品なため、上野啓介シェフは和紅茶の特徴を表現すべく、茶葉の調整を行う等の試行錯誤を重ねました。

生地には紅茶をたっぷり使っています。
上野啓介シェフは和紅茶の香りや味わいを表現するため、刻んだ茶葉だけではなく、濃く煮だした紅茶も生地に練り込んでいます。紅茶風味のしっとりとした生地と茶葉のダブル効果によって天の紅茶の香りを堪能できます。和紅茶は和の食材との相性も良いので、餡を塗っても楽しめます。
3、『レモネード』のスコーンです。

希少柑橘レモネードです。
レモネードは、栽培が困難なことから、店頭にはほとんど出回らない希少な柑橘です。普通のレモンのように見えますが、強烈な酸味はなく、甘みがあります。
しっかりとした粒感のある果肉と果皮の華やかな香りにより、爽やかな味わいです。

レモネードの果皮たっぷりのコンフィチュールです。
上野啓介シェフはレモネードの果肉だけではなく果皮も使いコンフィチュールを作ります。レモネードは果皮に、強い香りと、程よい苦味があります。バニラビーンズを入れて、さらに香りや味わいに奥行きを持たせます。

コンフィチュールをピューレにします。
なめらかな食感をだすため、先程のコンフィチュールをミキサーにかけてピューレ状にします。果皮の食感をある程度残したらスコーンの生地に混ぜ込み、焼き上げます。

果皮の食感が心地よく、あとを引きます。
レモネードのスコーンを割ると柑橘が爽やかに香ります。果皮の食感をのこしているため、レモネードの程よい苦味と酸味が感じられ、後を引きます。そのままでも十分楽しめますが、マーマレードで追い柑橘やクリームをつけても楽しめます。

スコーンの美味しい楽しみ方
スコーンはイギリスの伝統的な焼菓子です。スコーンの起源は16世紀にスコットランドからはじまり、18世紀には貴族のアフタヌーンティーで広まりました。その後お茶を楽しむ文化が市民にも定着し、お茶の時間の定番となりました。
『初夏のスコーン3種セット』のスコーンは解凍後、常温もしくは、電子レンジで20〜30秒程温めてからお召し上がりください。温めますと風味と食感の良さが増します。そのままでも十分美味しいのですが、オオカミの口に沿って上下に割り、クロテッドクリームとジャムをたっぷりのせるのが英国流の楽しみ方です。
文・林麻実
撮影・天方晴子