MAISON GIVRÉEメゾンジブレー

ゴールドバレルのチョコレートは、西表島の池村建一さんが作るパインアップルのゴールドバレルに、パッションフルーツチョコレートを合わせた、華やかな香りと酸味、ジューシーな味わいで魅了します。ブラッドオレンジのトランシュは、愛媛県宇和島の児玉恵さんがつくる２種のブラッドオレンジを使います。モロ種にはフランボワーズチョコレートを、タロッコ種にはパッションフルーツとフランボワーズのチョコレートを合わせてあります。

ゴールドバレルの
チョコレートと
ブラッド
オレンジのトランシュ
です。

ゴールドバレルのチョコレートとブラッドオレンジのトランシュは、ドライでも生でもない、果物本来の香りと食感を美味しく閉じ込めた、従来の保存目的のコンフィとは一線を画す見事なお菓子です。その理由は江森シェフが独自のシロップをつくり、時間をかけてシロップ煮にして糖度を上げていく手法で作り上げていることにあります。

ゴールドバレルの
チョコレートを
ご紹介します。

大変希少なパインアップルです。

ゴールドバレルは、沖縄県がパインアップルの最高峰を目指して開発した品種です。糖度が非常に高く、酸味が少なく、えぐみがなく、芳醇で濃厚な味わいです。ほかのパインアップルが2年かけて栽培されるのに対して、ゴールドバレルは3年かかります。その苦労から生産量は国産パインアップルのわずか１%と希少です。「池村建一さんのゴールドバレルは、糖度が高く甘味がしっかりしています。その上酸味のバランスが良く、後味が爽やかです。芯までやわらかいので果肉を余すことなく使えます」と江森シェフ。

パッションフルーツの
チョコレートを
合わせます。

風味豊かなゴールドバレルの果肉に合わせるのは、ヴァローナ社のパッションフルーツチョコレートです。南国を思わせるエキゾチックな香りと酸味がパインと相性抜群です。ゴールドバレルの香りや味わいを際立たせます。「酸は甘さと香りを引き立てるためになくてはならないものです。それぞれの果物に合わせて酸味を変えます」と江森シェフ。

ブラッドオレンジの
トランシュの
魅力に
迫ります。

2種のブラッドオレンジを
使います。

「児玉恵さんがつくるブラッドオレンジは、樹上で完熟させることで、赤味と糖度が上がって美味しくなります。タロッコ種は濃厚な甘味と酸味のバランスがよく、香りも豊かです。それに対し、モロ種は赤味がさらに強く、コクのある甘さと奥深いあじわいが特徴的です。」と江森シェフ。ブラッドオレンジのトランシュは、ブラッドオレンジを輪切りにし、香りや柔らかさを守るため、数日に分けて少しずつ糖度を高めながら煮詰めます。

フランボワーズの
チョコレートを
合わせます。

コンフィにしたブラッドオレンジは、ヴァローナのフルーツチョコレートを合わせます。モロ種はフランボワーズのチョコレート。タロッコ種はフランボワーズとパッションフルーツをブレンドしたチョコレートをコーティングしました。程よい苦みのあるブラッドオレンジに甘酸っぱいフランボワーズのチョコレートがさらに華やかさを演出します。

紅茶とともに香りを
お楽しみください。

「お菓子の香りを楽しんでいただきたいので、ぜひ紅茶とあわせてください。口の中で溶けていくチョコレートに果物の香りが追いかけてきます。そこへ紅茶を口にふくんでいただくと果物とチョコレートの香りが一層引き立つのです」と、江森シェフは語ります。食べた時の味わいやその時に合わせる飲み物にまで配慮するのが江森シェフ流のお菓子作りです。

文・林麻実
撮影・天方晴子